花野原 〜はなのはら〜
花々が咲き乱れていた。
それはもう、一面に…花野原。
「…おかぁさま…?」
母が、嬉しそうだ。そう感じたのはなぜだったのか…。
「きれいね、ラス」
「…はい」
母があんまり嬉しそうで。
なぜだろう、と…。ラエスリールは、考える。



いつも、父は。母に花を持ってくる。
そのたびに母は、困った顔をしていたはず。



「おかあさま…?」
母は、くすりと笑った。
「このお花はね。自然に咲いたものなの…」
「…? はい…」
「だからきれいなのよ…」
ラエスリールの手を引いて、チェリクは歩く。



あたたかい風が、二人の黒髪を揺らす―――



「お父さまが帰られたわ…」
視線の先に、黄金の…青年。
その隣に、蜜色の少年…。



「ラス!」
少年が、駆けてくる…。
「リーダイル、お花がっ!」
小さな足に蹴散らされて、花弁が散って…。
「…こんなの…」
つ、と指先を向ければ。
先ほどよりも立派な花が、咲き誇る… 。
「やだ、リーダイルっ!」
母の気持ちが、わかった気がした。
こんなのは…きれいじゃ、ない。
「…なんだよ、ラス。きれいでしょ?」
「やだ…やめてっ!」
ぽん、と。優しい手のひらが、ラエスリールの頭に置かれた。
「ラス、帰るわよ…。リーダイルも」



「…これ、あげる」
次の朝、まだ朝露を含んだ花を…。
リーダイルは、差し出した。
「…きれい…」
それは、本当に自然な花。
「こんなのがいいなんて、ラスは変わり者だね」
そう言いながら、リーダイルは…笑った―――。

2006.03.11〜03.12に行われた絵チャでお絵かき中に接続がプチンしてしまって、
急遽書いたSSです♪ お題は【お花畑をお散歩】でした^^
王蜜家族好きです…!
ほのぼのだけではなくて考えさせられる所もありまして(人と魔の考え方
の差みたいな)なんだかとっても切なくてきゅんとなりました(><)
そして、ゆらんさん、素敵なページとお手製素材有難うございましたm(__)m
--- WEB SINCERE【うぇぶ・しんしあ】 ---
WEB拍手のようなものです。お礼絵(2005.03.12現在闇主さんひとり)が出ます。
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