お絵かきチャットお題 初詣 
碧様 作

雪がちらちらと降る、年明け。
 まだ陽が昇る前に神社の鳥居の傍に佇んでいるのは黒髪の少女だった。正月らしく、華やかな振袖。吐く息は白く、ときおり手を温める。
 たくさんの人が行き交う参道を眺めてはため息を零す。
 待ち人来たらず。
 髪を結い上げているので首筋が少し寒い。
「お、待たせたか?」
 聞きなれた低音が耳に届いて、ちょっとだけ緊張が解ける。
「……勝手に待たせておいてなんだ、その台詞は。しかもなんで急にこんな格好させた…てか、ここはどこ?」
 彼女の疑問は尤もなもので、なにせ真冬のこの時期に突然思い立ったかのように闇主は彼女に見慣れない服を着せ、どことも言わずに転移して「しばらく待ってろ」と言って放り出したのだ。
「正月って言えば初詣でだろ?」
 ここでこの世界に「初詣でなんて行事ないだろ」とか、「そもそも神社なんてないだろ」とか疑問に思ってはいけない。
 なんせ正月なのだから。
「んじゃ、行くか」
「どこに?」
「賽銭しに」
「さいせ…ん?」
「行けばわかるさ」
「……動きづらいのだが」
「その内慣れる」
 そうかなぁ、と呟きながらラエスリールが一歩踏み出す。
 途端にこけそうになって、闇主が支えた。

 ちゃりんちゃりんと大きな箱に大勢の人がお金を入れて、手を合わせて何かを祈っているようだ、とは観察をしているうちに理解した。
 見たことのない硬貨や紙幣が投げ込まれるのを確認してからラエスリールは闇主を見上げた。
「なんだ?」
「お金を投げるのか?」
「そうだな」
「……見たことないものだが?」
「気持ちがあれば充分だろ」
「そもそもお金を入れて何に祈るんだ?」
「まー、場所によって色々だが大雑把に言えば古来からこの国にいる神様、かな」
「……」
 闇主が神様に何を祈るんだ。
 妖主のくせに叶えてもらいたいものがあるのだろうか。
「ともかく、さっさとやって帰るぞ」
「帰るって…」
 闇主が連れて来たんじゃないか…
 ぶちぶちと小声で文句を言いつつ、手元にあるお金を投げ入れる。
 見よう見まねで手を合わせて、ともかく何かを祈っておこうと思い、うーんと、と考える。
 苦戦している彼女の横で、闇主は真剣に祈っていた。

(さっさと新刊出ろ…!)

 新刊が出ないと二人の仲も進まない。
 悲痛な叫びは果たして届けられるのか。

 今年はまだ始まったばかりである……

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絵茶のお題です。(出てる人にしか分からない;)
ssでOKしてくださってありがとうございました!
自爆したお題なのに、さっぱり理解不能なものになりました。(考えとけ)
とりあえず、ファンの叫び、ということで(笑。

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碧さん、即興SS本当に有難うございますvv
もうもう、初詣するラスさまはもちろん、闇主さんの切なる願いは
もうもう、ファンの心の声の代弁ですよねv
本当に有難うございましたvvv

後記担当 ちな